矢吹

14歳の栞の矢吹のレビュー・感想・評価

14歳の栞(2021年製作の映画)
4.1
何にもないけど、なんでもあるはずだって悩むし、何にもないけど、なんでも悩むし、
やっぱり14歳って何にもないんだよ。
今だってそうかもしれないけど。
中学生って妄想だらけで妄想では面白いことがたくさん起きてたけど、外では何にも起きてなかった。多分そういう時間だったんだと思う。
中学生、は変わらないんだろうな、多分。
何が普及しても。この中学生である限り。
しかし共感性羞恥に、思ったよりも悩まされることがなかったのは、なぜだろうか。
あんな大人になりたくないって俺が思えなくなったからかもしれない。最近は自分を棚にあげることもできなくなってきたというか。耐えきれなくなって随分前に俺の棚はボロボロに崩れた。のかもしれない。
そんな汚ねえ自分の自分というゴミの中から、言葉を探すことを続けたいと思ったし、彼ら、もしくはこれから彼らになる人たち、そして、今の彼らだった人たちに、とにかく、彼らとしての俺から言えることは、なにもなくていいから、なにもなかったことにはせずに、君の今の心の形を見つめて、焼き付けて、忘れないでほしいということ。
そして、見てて何より思ったのは、中学生はさ、言葉と体の距離が近くて羨ましい。な。って感じですかね。
心がとてもわかるところに置いてある。というか。自分にとってね。
だからこそ、意味もなく分からずぶち込まれた教室の中でみんなそれぞれ悩んで考えて見つけて生きてて偉いし、俺も偉かったんだろうな。とても偉いことだと思います。教室ではあんな感じのあの子が、家で、お外で、部活で、全然違う顔を見せてくれたり、お前そんな奴だったのかよって思いながら、大人なんてもっとそんなことだらけだろうよって思いつつ。本当に、側から見たら、本当に、愛おしく、なんでもない時間ばかりであって、俺は14歳の頃は特に素敵な思い出もなかったから、格段に思い出せることもなければ、面白いトピックもなにも、ないないだらけだったけど、生意気にも偉そうに生きてたと思います、それは偉いことです。教室っていう箱は本当に不思議なもので、全部あるあるまみれになるのかもな、人間集まったらそんなもんだという。なんか、みんながみんな、誰かには共感できるようになってるのかな、地球、というか日本。
子供から大人になるまでの時間を覗けるこの作品は、大人から子供になるまでの時間だったりした気もするからすごく貴重であり、良い作品であり、ナレーションも主題歌も頭とケツのちょろっとあるだけで、ほぼ全部彼らの言葉と日常だけでできていて、嬉しいことこの上ない。大切にしているな。という感じでした。みんな、幸せになろうな。大人になったら楽しいことがめちゃくちゃ待ってるらしいぜ。大人が言ってた。
そして、俺はまだ教室から出ていないPart 4

どうだろう、これは、あくまで14歳のお昼の物語であると。だからよいのだ。
カメラ向けられて答えられる自分はいるという、人間である。やっぱり、貴重な作品だと。
個人ではなく教室というコミュニティ全部の密着という素晴らしさなのさ。
矢吹

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