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獅子座のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

獅子座(1959年製作の映画)
3.3
エリック・ロメールが1959年に発表した長編デビュー作で、ヌーベルバーグ初期を代表する記念碑的作品。
原題: Le Signe du lion、英: The Sign of Leo)

6月22日から8月22日までの物語。舞台はパリ。
アメリカ出身で40才目前の自称作曲家のピエール・ヴェセルラン(ジェス・ハーン)は、"伯母が死去し莫大な遺産が従兄とピエールに相続される"という電報を受けとる。
早速、写真雑誌社で働く友人ジャン=フランソワ(ヴァン・ドゥード)を呼び出し、彼から5万フラン借りて、派手なパーティを開く。
しかし、伯母の遺言が発見され、遺産はすべて従兄の手に渡ることが分かる。
金の無心をしようとするが、友人のジャン・フランソワは海外取材でパリを離れ、他の友人たちもヴァカンスで不在で、連絡が取れない。
無一文になったピエールがセーヌ河畔などパリの街を彷徨う姿が延々と写し出される。
食用油で汚したズボンと染み抜き、切符の紛失、万引き、破れる靴…

やがて、ひとりの浮浪者(ジャン・ル・プーラン)が彼を助け、カフェの店先で芸を見せる助手をする…
ジャン=フランソワら友人たちが、出張やヴァカンスからパリに戻ってきて、ピエールがいないことに気づく中、新聞に"ある記事"が載る…

「この石(ピエール)め。汚らわしい石め。お前らも汚らわしい。一人にしてくれ」

強運に恵まれるという獅子座生まれの巨漢の男は、苦境に落ちいっても全く働く意思はない。
最後どうなるかは見てのお楽しみ

製作はクロード・シャブロル
ゴダールなど多数の人がクレジットなしで出演している。
・マリー・デュボワ( カフェの女)
・ジャン=リュック・ゴダール ( レコードに聞き入る男)
・ステファーヌ・オードラン(ホテルのフロントの女)
・マーシャ・メリル( パリ祭のブロンド娘)
・フランソワーズ・プレヴォー( エレーヌ)
・マルカ・リボヴスカ( 2児の母親)…

ニコラ・アエール撮影によるパリの町並み、セーヌ河畔が美しい。主人公が彷徨いながら出会う(見つめる)さまざまな人々の生き生きとした姿も印象的。
ルイ・サゲールの音楽(ヴァイオリンの歪んだ音色)も主人公の心理をうまく表現している。
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