Kazu

PASSING -白い黒人-のKazuのレビュー・感想・評価

PASSING -白い黒人-(2021年製作の映画)
4.5

『passing-白い黒人』

白人として「パスする」ということ。
ゾクゾクするタイトルと共に、
私はこの複雑な気持ちを引き摺りながら、ラストまでヒリヒリ、ヒヤヒヤしながら衝撃のラストまで持ってかれました。

アメリカにおいて、黒人の定義とは?
アフロ・アメリカンの血が16分の1でも黒人と人種分類されてしまうと私は初めて知った。

ただ黒人と白人と単純なものではなく、何世代に渡って根強く残る人種差別が戸籍の上で残され、長い歴史の中、白人の血が混ざり合いながらも苦しみ続けている人達がたくさんいる事を知った。

レベッカ・ホール初監督作品
ホール自身どこから見てもイギリス出身の白人にしか見えない彼女には、白人でパスできる黒人の祖父が存在していること、

黒人の血が流れている事実を受け止め、自分自身のアイデンティティに正面から立ち向かい、10年前から脚本を手がけていた作品。

原作がある今作、1929年ネラ・ラーセンと言う女性が執筆している。
彼女もまた白人の母、黒人の父の元に生まれ母が白人と再婚する事で自身のみが黒人である複雑な環境で人生を送った女性です。

監督、著者が共に女性であり、物語も黒人二人の女性が主人公になっている素晴らしい作品です。



1920年代ニューヨーク、「ハーレム・ルネッサンス」と呼ばれた時代が舞台。

黒人であり白人としてパスできる二人の女性が共に結婚し、家族がある。
しかし一人は人種を偽り白人を夫とし生活している。
黒人の混血は肌も色白く、白人メイクで白人と偽れば、白人専用のカフェだってパスできるのだ。



なんとも今までにない怖さを感じ、見ていてとても居心地の悪い感触と複雑な思いを抱きながら私自身も迷いながら鑑賞していたのです。

二人の女性・・・この先は

モノクロの曖昧なカラー表現で実に美しくファッショナブル、
衝撃的なラストは真っ白の雪、
真っ白な雪が舞っている。

テッサ・トンプソンがもう痺れるくらい素晴らしいことです。
彼女の繊細な動きが微妙な心の動きを表現し、ミリ単位で動く瞳がゾクゾクした。
Kazu

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