このレビューはネタバレを含みます
人種差別が社会に根深く蔓延る1920年代ニューヨークが舞台の作品。
終始モノクロで描かれる今作は不要な要素(色)を取り除き、白と黒その2色でテーマと向き合っていく構造。
同じ黒人でありながらも白い肌を持つクレアは白人として、アイリーンは黒人として暮らしていたが、人生が偶然にも再び重なった事でお互いがお互いの存在を意識し始め、2人のコンプレックスはより深くなっていく。
クレアは白人のふりをして生きる事への違和感。黒人らしい暮らしへの憧れ。
そこから来る孤独感。寂しさ。
アイリーンはクレアに対して白人のように堂々と振る舞える事への羨ましさに重ね、夫や子供たちがクレアに心を奪われていく事への嫉妬。クレアが現れたことにより生活が一変し乱される心。それによるストレス。
差別社会という時代が故の苦悩の中で揉まれながらも本当の幸せを求めようとした2人の物語。
それぞれが本当で居られる場所。
黒人のパーティーで燥ぐクレア。
そのパーティーで白人のヒューと饒舌になって語らうアイリーン。
黒人との関わり。白人との繋がり。
線引きの曖昧さが映画のモノクロを淡くさせている様な気がする。