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暗殺・リトビネンコ事件(ケース)のBaadのレビュー・感想・評価

3.6
芸術的、というか、ちょっとハイソサエティーの香りを感じるドキュメンタリーです。
それが、共産主義が崩壊した後のロシアの映画監督のものとなると、どこか、この国の文化の体質の一部に触れているようで妙な生々しさがあります。

予告編でリトビネンコが家族と一緒にいる場面に興味を引かれたこともあってこの映画を見ることにしたのですが、リトビネンコの暗殺そのものよりも、むしろ怒濤のような変化の中にある現在のロシアの社会の明暗と腐敗体質、かつての共産主義社会で培われた高度な技術や上質な芸術と一般民衆社会システムとの乖離などが実感として伝わって来て大変面白かった。

リトビネンコ氏は実直で有能な叩き上げの刑事というタイプの人だったようでその辺も意外でした。

(妙に芸術的 2008/6/28記 京都みなみ会館)
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