昨日は重い映画を3本鑑賞したのでレビューを書くのがかなりヘビー(笑)。2本目はフェリーニの代表作の一本であるこちら!
イタリアの街角で、貧しくも明るく暮らす娼婦カビリアは、いつも男に騙されてばかり。純粋すぎるが故につい男を信用してしまうのが悪い癖。しかし、そんな彼女の前に紳士的で心優しいオスカルという男性が現れる。
個人的イタリア映画ベスト3の1本である『道』と同じフェリーニ監督作、そして主役も同じジュリエッタ・マシーナという奇跡のコンビネーション再び。
無垢で愛嬌があるが、どこか儚さも持つ女性を演じたらジュリエッタの右に出る者なし!悪いことは何ひとつしていないのに、かわいそうな目に遭ってばかりで本当に切ない...。
『道』のザンパノが百倍マシに見えてくる、クズ男が本作には何人も登場。「どうしてそんな男信用しちゃうの!」とカビリアを止めたくなるけれど、孤独さゆえに少しでも自分を必要としてくれる存在にはすぐ心を開いてしまうんですよね...。何か心弾むようなことが起きると、親友のワンダに嬉々として報告する彼女の姿は本当に可愛らしいけれど、その一方で悲しくなってきます...。今すぐにでも幸せになってほしいし目を覚ましてほしいと思いつつも、ラストシーンのあの切なすぎる純粋な笑顔を見たら、それこそ彼女の魅力でもあるんだなと何も言えなくなってしまいます。
モノクロなのにそれが逆に美しくて、時折挟まれるニーノ・ロータによる音楽も情緒たっぷり。前半部分は笑えるシーンもたくさんあって楽しいのに、最後のあの切なさはまるで別の映画に見えてくるから不思議。
明るさの中に悲哀もたっぷりの良作、とにかく素晴らしかったです。