Ricola

ほらふき倶楽部のRicolaのレビュー・感想・評価

ほらふき倶楽部(1926年製作の映画)
3.7
チャーリー・バワーズ特有の、アニメーションと実写映像の融合によるファンタジーな世界観に魅了される。

ホラ吹きチャンピオンを決める大会にて、大会の参加者のほらが全く取るに足らないつまらないものなので、偶然大砲台に首を突っ込んでいるどう考えてもやばそうな人を引っ張り出して連れてくる。彼の話は事実なのだが、周りからしたら信じがたいものばかりなので、この大会をかき回すにはぴったりと認識されてしまうという展開が可笑しい。


発明家の主人公は、便利かつ我々の想像を超えた事象を実現してみせる。
その利便的な発明品が逆にトラブルを招いたことを、ホラ吹きの人々に説明するのだ。

まず例えば、さまざまな植物の名前が書かれた枝を土に挿すと、瞬時に実がなるという発明品。
eggplantの枝の場合は、本当にeggのplantが成るのには驚き。 
それも丁寧に茹でた状態の卵で、塩までついてくるのが嬉しい。

このように、植物から何かありえないものが発生する仕組みがチャーリー・バワーズは好きなようだ。
どんどん成長して実をつけたり、形成されて「生まれたり」する様子が、アニメーションで表現されている。
自分が身に着けるものまで、植物によって1から作ってみせるのも面白い。
小さな植物を頭に乗せておけば、勝手に成長して立派な帽子になるし、鉢植えに靴紐のタネを植えて、靴を履いた両足の間にその鉢植えを置いておけば、靴紐が生えてきて勝手に靴に紐が通って結んでまでくれるのだ。
単なる小さな苗木から、モコモコと成長して猫が生まれる様子なんて特にクレイジーである。
しかし、どの場合も至ってなんだかかわいく感じられる。

非現実的な要素は、やはりアニメーションが担っている。
ネズミが銃を持って猫に攻撃する様子にはびっくりした。子供ウケするようなしないような、ちょっぴりブラックなのもまた面白い。

ストーリーは支離滅裂ではあるが、そんなことよりもバワーズの生み出す想像を超える世界観に刺激を受けるのが楽しい作品である。
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