映画賞を席巻しているドライブ・マイ・カー、その濱口監督の最新作。
前作の匂いを感じさせる作品や全く違うテイストの作品もありで、「偶然」を共通項に全く色の異なる物語が集まっていた。
DIVOC12を見てからこういったオムニバス形式の作品への抵抗感もなくなっていた為、非常に面白く感じられ、没入して最後まで鑑賞。
1話
友人との会話の流れが理由となり、元カレの元を訪れる話だが、言葉の掛け合いが秀逸。
独特でユーモラスな語彙の選択も多彩に感じられ、言葉に惹き込まれる。
古川琴音のテンポ感に酔いしれ、「いとみち」にも出演していた中島歩の声に聴き惚れた。
彼の声質、重低音に響く珍しいタイプの声が実に格好いい。
2話
一言で言うとエロい作品。
ちょっとドライブ・マイ・カーにも通じるような文芸的なエロさを感じられた。
そして、このやり過ぎないバランス感、さじ加減が濱口監督の特筆するべき演出能力なのかなと思わされる。
エロいんだけど思わず笑えてしまうポイントもいくつか仕掛けられており、芸達者な渋川清彦の名演技が光る作品。
3話
偶然と想像というタイトルが一番ピッタリに思えた大トリ。
あくまで自然に、でも違和感を感じさせる二人の女優が織りなす空気感を味わう物語。
特別なセットや描写があるわけではない為、この二人の演技にただただ見入るだけの時間。
どこか不思議なストーリーだけれど、シンパシー、共感性というものを強く感じられ、鑑賞後には何だか心が軽くなった。