気の利いたパス

偶然と想像の気の利いたパスのネタバレレビュー・内容・結末

偶然と想像(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

劇場が笑いに包まれる幸せな映画体験。
あまりの居づらさに目を離せなくなる。

続編…というか、残りのエピソードも作品化して、完全版を是非とも公開してほしい。

※水戸映画祭で2度目の鑑賞をしたので、以下追記。

1度目の鑑賞時、"魔法"ではカフェ前を通りかかるシーン、"扉~"ではゼミ室でのシークエンス、"もう一度"では正体を明かすシーン等々で、自分も含めて劇場全体で爆笑が起きていたのですが、2度目の鑑賞では、お上品な方が多かったのか、自分の様に鑑賞複数回目の方が多かったのか、笑いは全くと言っていい程起こらず。

それもあってか、感想も少々異なってきて、特に"もう一度"の駅のシーンでは泣きそうになりました。
自分は周囲の環境に影響を受けやすいんだなと実感しつつ、やっぱり劇場で観るのはいいもんだと再確認。

以下は2回目の鑑賞で自分が初めて気づいたことを書きなぐります。

"魔法"
・タクシーの中でカーの名前をツーがハッキリ言っていた。
・古川さんは、いったいどこのタイミングでそれに気づいたのかが全く分からない!女性って凄い…ってか怖い(笑)!
・ラストの再開発越しの空、恋愛→崩壊→失恋→立直り…のスクラップ&ビルドを表しているのか、なんてことを思いました。

"扉~"
・佐々木が小説を全然読まないことのフリを、意外と序盤でしっかり効かせていた。
・それなので小説を、書く→編集→校閲と、あの3人で物語を作ることの重要性を強く感じさせられた。
・キスも、1度目は呪いに近い怖さを感じましたが、2度目はその後の手を振る動作も合わせると、意外と爽やかに感じたりして(笑)。
・感情を排したセリフ回しを1番強く感じたのが"扉~"。1度目はいくらなんでも棒読み過ぎじゃないかと思ったのですが、2度目は、小説を音読するという作業と、教授が言うとても素敵なセリフが、低い所でハーモニー奏でているようで、ふわふわと浮遊感すら感じる心地よさ。
・とは言え自分は笑いを堪えるのに必死でしたが。

"もう一度"
・それまでとは一転、セリフ回しは、思ったよりしっかり感情が入っていた。
・占部さんの衣装、青いTシャツかと思っていたらニットだった。
・カツ丼旨そう。
・占部さんの「あーーーーあーー」は邦画史に残る名台詞。
・河井さんがお茶を出すとき、お茶請けの上のお茶碗が傾いている。
・河井さんの自宅リビングの大きな窓が印象的で、窓の内外から撮り分けるカメラにシビれた。
・あのタイミングで息子が帰ってこなかったら…
・ここも佐川急便(青いだけだけど)が絡んでた!
・ずーっと優しさに満ちていて、高校時代の、若くて感情的で感傷的な…多感なあの頃の自分へ向けた、2人の懸命な優しさに、目頭が熱くなりました。

時間こそ短かったですが、中島歩さん、占部房子さん、河井青葉さんのトークショーを聞けたのは幸せな時間でした。
衣装は自前とか、小津安二郎作品とのエピソード、濱口監督の言い方の物真似とか(笑)、貴重な話が聞けて嬉しかった。
中島さんが飄々としていて、でもちゃっかりと宣伝も挟んできつつお話も上手で、あんなイケメンなのにとてもチャーミングな方だったのが印象的。

ようやくパンフが買えたことも含めて、ありがとう水戸映画祭!

帰りにひとりで立ち寄った飲み屋で、買ったばかりのパンフに盛大にレモンサワーをこぼしたのですが、すぐに拭いたら何事も無かったかのよう(笑)!
中身だけじゃなく紙質も最高なパンフなので、皆さまも是非ご購入を!
気の利いたパス

気の利いたパス