祖母を亡くした8歳のネリー（ジョセフィーヌ・サンス）は祖母の家の片づけを手伝うが、落ち込んだ母は家を出て行ってしまう。ネリーは森の中でマリオンという名の8歳の少女（ジョセフィーヌ・サンス）と出会い、彼女の家や母親を見て、それが幼い日の自分の母親であることに気付く。
セリーヌ・シアマ監督による、非現実的な設定ながら、なぜか自然と受け入れられて、優しい気持ちになれるファンタジーだ。
マリオンは、身体的な理由で籠っていたことから実家に閉塞感を抱き続け、唯一の話し相手だった母親に依存していたんだろう。その母親の死によって不安定になり、妻と母という役割に自信を失ってしまう。
一方、祖母を失ったネリーも、恐らく人生で初めて喪失感を覚える。
そんな2人が同じ8歳という年齢で時間を共有する中で、それぞれ前に進む力を手にする姿が爽やかで微笑ましい。
マリオンは女優という夢をネリーと共有し、ネリーの抱える不安も共有してあげるのだ。
ネリーが最後に祖母に “さよなら” を言い、頬を撫でられた時の顔にホッとしてしまった。
そんな心の交流がラストの親子再生に繋がったんだろう。母親マリオンは全てを思い出しているように見えたなー。
ただ、“悲しみはあなたのせいじゃない” と言うマリオンに、“（不在は）いい時間だった” と語るネリーなど、8歳にしてはセリフが大人すぎでしょー！
