shabadaba

ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう/見上げた空に何が見える?のshabadabaのレビュー・感想・評価

-
足元だけを捉えた男女2人の現実離れした出会い、超ロングショットでの2人の再会、話しかけてくる木、監視カメラ、雨どい、風、告げられる呪い、観客への奇妙な注意喚起、そして、2人の外見が朝になると変わっているという呪いの実現、ここまでのあまりにも素っ気ない演出と、それ以後のひたすらナラティブの経済性から逸脱を繰り返し、都市とサッカーの蘊蓄を語る冗長な語りとが対比になっている。いつの間にか見た目が変わってしまった男女の再会はどうでもいいものとなっており、W杯の熱狂に包まれた都市の様子がドキュメンタリーとも思えるようなやり方で延々と映し出され、そして、半ば唐突に2人にかけられた呪いは、映画装置のもとで解かれることになる。あまりにも冗長なヴォイスオーヴァー、つまり語ることと、常にそのヴォイスオーヴァー以上のものを映し出す映像、つまり見せることとの対立がこの作品の原理となっており、だからこそ、最後のある種のマジックは、語ることの見せることへの屈服を意味し、ヴォイスオーヴァーは最終的に、なぜこんなことが起こるのかわからないと降参する。ブレッソン〜ゲリンに至る断片化の伝統のもとにあるようで、そうした厳格さとは程遠いところにある、ふざけたユーモラスな感覚が映画全体を包み込んでおり、作家の被写体と映画への愛が結実した作品になっていると思う。
shabadaba

shabadaba