鮭茶漬け

ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう/見上げた空に何が見える?の鮭茶漬けのレビュー・感想・評価

4.4
東京フィルメックス最優秀作品賞
ジョージアのアレクサンドレ・コベリゼ監督
ある日何気ない通りで出会った男女が恋に落ちる。ただ次の日、彼らは不思議な力によって容姿が別人になってしまう

映画の持つ力を信じている作品です、めちゃ良かった。
「男女の恋が障害に立ち向かう」というよくあるテーマを、ユーモラスな描写と脚本で描いています。
この人の手法は悪く言えば「逆張り」となるかもしれないけど、それは映画への愛と挑戦心から産まれた純粋さゆえの行為だと感じられる。ショットはばちばちに決まっているし、特に前半の方とかフランス映画と見紛うような演出でした。不思議な力は観客にさえ伝播するのもワクワクする。演技や表情を廃する姿勢は様々な映画監督の源流がジョージアに行き着いたものでしょうが、その姿勢に徹するわけでもなく色んなスタイルを織り交ぜていたのも印象的

とはいえあと15分は短くできなかっただろうか、、笑

他のユーザーの感想・評価

pherim

pherimの感想・評価

4.5
『見上げた空に何が見える?』

夜の交差点で邂逅する男女を、幼木と古い雨どいと監視カメラと風が助けようとするジョージア宇宙。

知ってた。深夜の交差点ってそういうとこだよねっていう序盤からフワリとした着地まで、映画ならではの遊び&心地良さ充満の不思議ロマンス。コーカサス版アメリだよ。
ジョージアを舞台にした(ちょっと不思議な)小話を紡いだ短編集って感じ。映画の進むべき道を示す語り部的なナレーションとあえて過剰に鳴らす音楽。ここまで映したい角度が偏っていると、それはそれで避けられ削られた物語や人物が不意に漏らしてしまう台詞などが欲しくなる。ホン・サンス、ミゲル・ゴメスの影響もそれなりに。閉鎖的な社会を嘆き「映画」の広がり(可能性)を信じているであろう作家、それはそれで否定はしないが俺はそこまで楽観的になれないので。東京フィルメックスオンライン配信で1700円。
めちゃめちゃ良かった。

とても長い時間を過ごしたような気がする
観客に任せる映画ってけっこうあると思うのだけれど、この映画はすごく、頼ってくれているという感じがした

街も空間も人も動物もみんないたな

動物がすごくいい仕事をする
鳥たちの空気の読み方すごい

たくさんの顔と足

そうか世界ってこうだよな

グルジア語の文字
eigajikou

eigajikouの感想・評価

4.0
今年も東京国際映画祭と被っていたフィルメックス。
フィルメックスは配信で見れる作品は配信で見ようと思っていたけど結局配信で見たのは本作だけになってしまった。
(見る時間確保と予算問題)

配信だと集中力が続かなくて残念だった。
スクリーンで見たかったな。

フィクションだよってモノローグですごく主張しているのに映像がそれを感じさせない力を持っている不思議なバランスの作品だった。
子どもたち、犬たちが名演なんだけどどうやって撮ったんだろ。
足元だけを捉えた男女2人の現実離れした出会い、超ロングショットでの2人の再会、話しかけてくる木、監視カメラ、雨どい、風、告げられる呪い、観客への奇妙な注意喚起、そして、2人の外見が朝になると変わっているという呪いの実現、ここまでのあまりにも素っ気ない演出と、それ以後のひたすらナラティブの経済性から逸脱を繰り返し、都市とサッカーの蘊蓄を語る冗長な語りとが対比になっている。いつの間にか見た目が変わってしまった男女の再会はどうでもいいものとなっており、W杯の熱狂に包まれた都市の様子がドキュメンタリーとも思えるようなやり方で延々と映し出され、そして、半ば唐突に2人にかけられた呪いは、映画装置のもとで解かれることになる。あまりにも冗長なヴォイスオーヴァー、つまり語ることと、常にそのヴォイスオーヴァー以上のものを映し出す映像、つまり見せることとの対立がこの作品の原理となっており、だからこそ、最後のある種のマジックは、語ることの見せることへの屈服を意味し、ヴォイスオーヴァーは最終的に、なぜこんなことが起こるのかわからないと降参する。ブレッソン〜ゲリンに至る断片化の伝統のもとにあるようで、そうした厳格さとは程遠いところにある、ふざけたユーモラスな感覚が映画全体を包み込んでおり、作家の被写体と映画への愛が結実した作品になっていると思う。
梅酒

梅酒の感想・評価

4.0
東京フィルメックス2021:7本目(終)
〈オンライン配信にて〉
Tassu

Tassuの感想・評価

-
爽やかに、朗らかに、ふんわりとした夢のような、おとぎ話

Trailer
https://www.youtube.com/watch?v=M_A9ktiOA0M
i

iの感想・評価

4.2
私はこの映画が好きですが、一緒に観た友達は映画のペースがすごく遅いと言った。「エスカレーターの左側に立って上に行こうとしたが、ずっと歩きながら止まった人というスピード」という感じ...... うん
でも、私はこの話の叙述方式が好きです。構図と雰囲気とediting も特別です。
「ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう/見上げた空に何が見える?」の感想・評価を全て見る

鮭茶漬けさんが書いた他の作品のレビュー

赤線地帯(1956年製作の映画)

4.2

溝口健二監督遺作

売春防止法施行直前の吉原、様々な事情を抱え自らの身体を売る赤線地帯の娼婦を描いた群像劇。あまり日本映画を観ていない自分でも名前を知っている豪華俳優陣によって演じられています。小気味
>>続きを読む

雨月物語(1953年製作の映画)

4.6

溝口健二監督

とんでもないものを見てしまった…という感覚。
この奇跡的な妖美な世界での体験をいま全日本人は味わうべきなんじゃないだろうか、、誰が言ってんだという話ですが。鳥肌級のショット・演出多数。
>>続きを読む

ブローニュの森の貴婦人たち(1944年製作の映画)

4.3

ロベール・ブレッソン監督
貴婦人は男に別れ話を切り出すが、男は実は愛が冷めていたと告白する。そして女の強かな復讐が始まる…

未見のブレッソンの映画を劇場で見られる機会がここ数年多いので嬉しいですね、
>>続きを読む

美女と野獣(1946年製作の映画)

4.3

ジャン・コクトー監督

これまで何度も映像化されてきたお話を初めて実写映画化したのがジャン・コクトーによる本作。
いいな〜 「大人のためのお伽噺」と冒頭述べられるように、映画的な美とファンタジーに心躍
>>続きを読む

詩人の血(1930年製作の映画)

-

没後60年 ジャン・コクトー映画祭
初監督作品にして前衛映画の名作

工場の煙突が破壊される
女性の石像を破壊する
拳銃自殺を試みる
常に死の雰囲気が漂ってた
詩人は空間や時間、そして存在すら超越する
>>続きを読む

RRR(2022年製作の映画)

4.5

S・S・ラージャマウリ監督
Dolby Cinema at 新宿バルト9

クソおもろかったなあ、、
圧倒的な熱量とスケールで押し切られる爽快な3時間でした。上映後に自然と拍手が起こったのは、映画祭映
>>続きを読む