イチロヲ

座頭市の歌が聞えるのイチロヲのレビュー・感想・評価

座頭市の歌が聞える(1966年製作の映画)
3.5
例大祭が開催されている上州一ノ宮に草鞋を脱いだ座頭市が、宿場町の平穏を乱している悪徳組織に立ち向かっていく。勝新太郎が盲目の侠客を演じている、人気時代劇シリーズの第13作目。

市の特殊な境遇を覚っている盲目の琵琶法師(浜村純)、宿場に従事している女郎(小川真由美)、東奔西走する訳ありの浪人(天知茂)。「人物相関図で繋がっているんだろうなぁ」と思っていたら、本当にその通りになる。いつもの筋立て。

また本作では、強者に憧れる少年との交流劇が含まれており、少年に人斬りを見せることに葛藤する様子が描かれる。「こんなにときに、おじちゃん(=市)が来てくれればいいのになぁ」の言葉に反応して、耳をピクピクさせる市が可愛い。

敵対者との闘争では、「聴覚が研ぎ澄まされているため、太鼓の音に耐えることができない」という弱点に言及。聴覚を遮られ、恐怖心に苛まれると、刀を振り回してしまう。「俺は怖いから仕込み杖を使ってしまうんだ」という吐露に哀感が詰まっている。
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