ディズニーのアニメーション映画がスクリーンに帰って来た。
更にこの短編映画は「モアナと伝説の海」と同時上映された「インナー・ワーキング」以来、5年振りの新作になる。
本作の監督は「ベイマックス」でヘッド・オブ・アニメーションのザック・パリッシュなので、舞台となっているニューヨークを彷彿させる都会の街が美しいスクリーンに広がる。
この都会の街は音楽とダンスで賑やかに彩られているのだが、その街の活況とは対照的に主人公の老カップルの夫は、以前はダンス好きの青年だったのに心身共に衰え、今は全てのことに意欲が湧かず、ただ1日を怠惰に過ごしている。
この夫に対して妻は老いたとはいえ心は若く、意気消沈している夫を外に連れ出して元気になってもらいたいと願っている。
本作には一切台詞が無いが、充分キャラクターが思っていることや伝えたいことが手に取るように分かる。
そんな夫婦が住む街に或る夜、不思議な雨が降る。
そして、この雨が二人に奇跡を起こしていく。
如何にもショービズのアメリカの面目躍如という展開が繰り広げられるのだが、それが恰も慈雨のように心に染み渡っていく。
アニメーションに水の表現は難しいと思うが、雨にしろ、路面の水溜まりにしろ、リアルでありながら美しさのある映像にうっとりしてしまう。
そして何といってもラストシーン、或る年齢以上の人々にとって描かれた心情やそこにある温もりに胸熱になってしまうと思う。
