スワヒリ亭こゆう

茜色に焼かれるのスワヒリ亭こゆうのレビュー・感想・評価

茜色に焼かれる(2021年製作の映画)
4.4
僕は最近、ずっと怒ってますね。
イライラしてしゃあない。
一体何に?
社会だろ!行政だろ!政治だろ!コロナだろ!
弱いやつ守ってやってくれよ。
飲食店弱ってきてるの分かるだろ!
何とかしたってくれ!頼むわ!
映画館へ行ってくれ!潰さないでくれ!
そんな事ばっかり…
五輪よりも目先で苦しんでる人の方が優先してあげてよ!頼むわ。


本作を観ていて、僕と同じように怒っている人がいる事の嬉しさが込み上げてきました。
社会的弱者と呼ばれてしまう親子を描いた作品でしたけど、人間に対する愛情の深さと弱者ばかりを攻撃する社会への怒りが伝わる映画でしたね。
監督が怒りを込めて作ってる所と弱者を憂いている所が伝わってくる気がしました。
とにかく良かったです。
尾野真千子さんは最高の演技でしたね。
素晴らしいですよ!


映画の冒頭、1人の男性が自転車で横断歩道を渡っていたら横から赤信号でブレーキとアクセルを間違えて突っ込んできた車に跳ねられて死んでしまう。
主人公・田中良子(尾野真千子)の旦那が死んで7年が経って…
コロナ禍で経営していたカフェは潰れてしまい、昼間は花屋、夜はピンサロで働きながら息子と暮らしている。
良子は旦那を跳ねた男から慰謝料は受け取らなかった。
一言も謝罪の言葉が無かったから…


弱い立場の人間が歯ぁくいしばって一生懸命に生きてる。
ルールを守らない奴らに負けずに必死で耐えてる。
「頑張りましょう」
良子の口ぐせが胸を締め付けます。
息子の純平も母に隠れて学校の上級生に虐められている。母親を売春婦と詰られても必死で耐えてる。


弱い立場だからってバカにしたり、弱みにつけ込んできたり、ホントに良い加減にして欲しいですよね。
イジメがあっても知らないふりの学校の先生、娘をレイプする父親、人を轢き殺して謝らないやつ、バイトだからって一方的にクビにする、風俗だからって女の子に偉そうにするやつ。
しまいにはシングルマザーだからって不倫相手として遊びで付き合おうとするやつ。
この映画の主人公・親子の周りのクズ達がホントに腹立つんです。

それでも懸命に生きてる姿が胸を打ちます。
めちゃくちゃ良かったです。