なおスコア高め

茜色に焼かれるのなおスコア高めのネタバレレビュー・内容・結末

茜色に焼かれる(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

これは、尾野真千子さんという女優さんがいたからこそ出来上がった映画だ、と思った

タイトルが“茜色に焼かれる”だから、
ものすごく不安に刈られるシーンがあったけど
階段にうなだれて座っているのを観て
柄にもなく神に感謝したい気持ちだった

尾野真千子さん演じる何とも普通の名前の田中良子と、
仕事仲間のケイちゃん
どうしてケイちゃんにばっかりこんなことが
ケイちゃんも、良子も、自分に起きている理不尽さには怒れない
“良子さんはもっと怒った方がいいですよ”
ケイちゃんが絞り出すように言う
私からしたらケイちゃんだって、もっと怒った方がいい
いい人なんですけどね、とケイちゃんが言う度に、
いや、ぜんっぜんいい人じゃないから!と肩を掴みたくなる

良子は、ハグして「まあ、頑張りましょ」と言う
この映画にはクソみたいな男(失礼)ばっかり出てくる
そもそも、轢かれて死んだダンナも結構なやらかし系だ
でも、惚れた弱みだから仕方がない
本当に好きになっちゃったんだから

その中で、店長の永瀬正敏はすごく良かった!
息子の純平も!
父親が事故死したのは、逆計算からして純平が6つくらいの時だ
だから自転車に乗れないんだ、と思ったらブワッと泣けた
自転車は、ちょうどそのくらいの時に後ろを持っていてくれる大人がいて練習するもんだ
自転車=禍というトラウマと、そういう大人の不在とで

1人で草っぱらでグルグル練習する純平
ケイちゃんに会いたくて

ここという勝負どころでは、赤を入れてくると息子にバレてるところが可笑しい
真っ赤なワンピースには不安しかない
ラストの演劇もちょっと思ってたのと違った
でも純平の反応が好き
3人で牛丼食べてる時のケイちゃんは、
ドキッとするくらい可愛かった
ケイちゃんを思い出すとまた泣けてくる
夕焼けの中を2人乗りで
純平が良子に言った言葉があれば、
誰だって生きていける気がする