シチュエーション・コメディを一本の映画にまとめたような作品。
少しギクシャクした家庭関係を修復していく王道ストーリーではあるが、思い切りよくギャグに振り切っていた点は好感が持てる。特にラストカット。あれがなければ、少々軸がぶれているように感じたかも。
やや残念なところは、冷えた親子関係を表現する要素が少し弱い点。正直、あれくらい躾としては普通じゃない？ と思ってしまう。
いやさ、少々行き過ぎなところが全くないとは言わないが、やりとりのほとんどがごく普通の親子の会話すぎてどこか無理やりギクシャクさせているようにも見える。
終盤の娘の反抗もちょっと強引。
それまでの時間でほぼ修復されきっていた関係性を完全にぶち壊さなければいけないのだから、もう少し大きな事件が必要な気がする。
もしくは、家族を取るか、友人を取るかでもっと葛藤を描いておいてのあの展開とか。
このあたりは、シーンがぶつ切りのシチュエーション・コメディなら成立していたはず。映画のシナリオとしてはやや不適。
とはいえ、物語のテンポや長さはちょうどよく、総じて可もなく不可もない、笑いながら気楽に観られる映画で好印象。
