前半が中々もったいつけてテンポが悪いと感じるほどのゆったりさ。
しかし、結婚式のシーン。
そこで交わされる不穏な会話の数々。
つまり、これはコッポラが「ゴッドファーザー」で引用したのだと思われる。
中盤以降の怒涛のテンポアップには、この緩やかな助走が物凄くグルーヴ感を出してくる。
とにかくサスペンス演出が冴えているし、幽霊演出や、西村晃の怪演や三船、加藤武のバディ感、志村喬のどこかコメディ感のある妙演など演技的見せ場の応酬で飽きさせない。
何より描いているのが、社会の中の権威、巨悪なわけで、しかもそれは倒せずに消え去った三船。
後味の悪いラストと、ダメ押しのタイトルバック。
作劇や演出が効きまくっているし、どこかの国の現代の政治のありようにも嫌というほど当てはまっていて、映画の力をまざまざと見せつけてくる。