黒澤明監督の現代社会派サスペンス。(冒頭の結婚式シーンが、後のゴッドファーザーに引用されたのは有名な話)
現代にも通じる汚職問題に鋭く切り込む。 いつもながらの練り込まれた脚本は秀逸。単純な勧善懲悪ではないラストもさすが。
映画だからと言って、めでたしめでたしにはならないというメッセージが、より一層この汚職という社会問題の根深さを語っている。
加藤武演じる〝板倉‘’の最後の叫びが胸を打つ。
黒澤監督の映画作りは、まずはメッセージがあり、それを表現するユースケースとしての脚本を作成する。多分脚本を書き上げた時点で映画はほぼ8割方完成しているのではないか。
脚本さえ完成すれば、後は信頼出来るいつもの俳優達に配役を割り振り映像化するだけ、という感じがする。(特にこの時期の作品は)
本質的なメッセージに基づく脚本がしっかりしているからこそ、国や時代や演ずる人に関係なく受け入れられるのだろう。