けんたろう

悪い奴ほどよく眠るのけんたろうのレビュー・感想・評価

悪い奴ほどよく眠る(1960年製作の映画)
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眠らずに観られたら良い奴なおはなし。


明かし明かされぬ主人公・西(三船敏郎)の素性と葛藤、
だんだんと分かってくる"奴ら"の悪、
役人気質が抜けない幽霊、
父親っこで純粋な娘、
熱いドラ息子、

彼らの織り成すサスペンスドラマは、ピンっと張られた糸の上で綱渡りするかのような緊張感があり、前かがみになってのめりこむ面白さがある。
丁寧に歩は進められ、主人公の背景も想像できるつくりであり、ゾクゾクして面白かった。

だが、渡っていた糸は突然プッツン。
それまでとは裏腹に過去をペラペラと喋る西が、それまでの物語をぶち壊す。
残念でならなかったが、もしかすると、これはその後を予期させるシーンだったのかもしれない。


そして映画はまさしく衝撃に終わった。
終幕後、悔しい悔しい一幕が目に浮かぶのだが、エンドクレジットが無いため、この一幕が映画なのか現実なのか区別はつかなくなり、とても後味が悪くなる。

僕にとっては、初めての黒澤社会ドラマ。ただならぬトラウマを植え付けられた。