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遠地/本当に遠い所のIPPOのレビュー・感想・評価

遠地/本当に遠い所(2020年製作の映画)
3.5
今年の東京レインボーリール上映作の中の韓国映画だったので覚えてた作品。U-NEXTにて配信スタート。
ゲイ映画の要素は弱く、むしろ上質なヒューマンドラマだった。秋が色濃くなるこの時期に観るには良い。

主演俳優のカン・ギル氏、『ベイビーブローカー』に出演する程脇役で出演多数なのね…全く記憶に無い。さらに相手役のホン・ギョン青年は一昨日見た『声/姿なき犯罪者』の脇役で出ていたそうで…こちらも記憶に無い笑。

さておき、
邦題:本当に遠い所 とは。
死、絶望、孤独、地獄、そういったことを指しているようにも感じたし、一方で何の痛みもない天国や楽園、はたまた安らかな死のことを指しているようにも感じ、本作を貫くものがヒューマニズムみたいな観念的なものと途中から気付いていく。
田舎町の圧倒的な秋の美しさを切り取る映像も監督のこだわりだろう。

同性愛、子どもを捨てた母、当たり前のように寄り添い合う牧場での擬似家族など、家族のあり方にもこだわりがあるようだ。
もう少しストーリーにエンタメ性があった方が見やすかったかもしれないね。

主人公が大事にしている存在たちが実は主人公の人生を踏みとどませている足かせでもあり、彼がその先に進むための正解は誰にもわからない。そんなことを描いたのかな。同性愛に関わらず、青年から中年へと変わる人生の岐路を描いていたよう。
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