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アミューズメント・パークのhorahukiのレビュー・感想・評価

アミューズメント・パーク(1973年製作の映画)
3.6
いつか自分も年をとることを忘れないでください

大人の事情で封印されてしまい、長年見ることのできなかったロメロのレア作品。高齢者への差別・虐待に対する意識を高めるためにルーテル教会が依頼・資金提供してロメロが監督したものらしい。今回修復を行うまでずっと見ることのできない作品だったらしく、早速日本でも上映されるとか見るしかないやつ!

本作の製作年1973年は、『悪魔の儀式』や、ベトナム戦争を再現した『ザ・クレイジーズ』と同年で『ゾンビ』の前というロメロ全盛期。金欠だったロメロが生活費を稼ぐために受けた仕事らしいのだけど、ロメロ節を出し過ぎたせいで封印されるという…流石ロメロ!ブレない!😅

内容は、フィルマの超短いあらすじ「遊園地で老人が罵られ、大変な目に遭う」が端的に表現してくれている通り。遊園地を(当時の)現代社会に擬えて、ハード面でもソフト面でも高齢者を念頭に置かずに無視し続け、更には虐げ排除する(当時の)社会構造をすんごくわかりやすく皮肉った不条理なブラックコメディ。

高齢者を寄ってたかって馬鹿にし、悪者に仕立て上げ、集団で追いかけ回す無自覚な悪意に塗れた現役世代の者たちはまるで『恐怖の足跡』の魂たちのようで、そこには生者と死者と例えてしまっても遜色ないほどの断絶がある。現役世代や権威主義を血の通っていない「死者」とする意図を匂わせる本作は、『ゾンビ』に至る主題の一貫性を感じ取れるし、本作も紛うことなきロメロ映画だなと思った。

遊園地内のどのアトラクションもまともに楽しめないから「シニア歓迎!」の看板出してるとこに行ったら老人施設?病棟?だったっていうブラックさ。しかもスタッフみんな「楽しんでください!」とか言ってニコニコしてるという恐怖。それと視力検査して車の免許更新を無慈悲にも断られるお爺さまも面白かった。視力検査してる隣で奥様が「あなた頑張って!」って必死な感じで応援してるのも笑えるのだけど、こればっかりは見えないんなら取り上げて貰わないと困る!本作は、免許を取り上げられた後に高齢者をサポートするハード面の乏しさを揶揄してる(結局馬に乗ってた😂)ので、ロメロも免許を取り上げることにはきっと異議ないのだろうけど。どっちにしても、老いることで自分の社会的価値はゼロになるという地獄を痛烈に実感して涙するお爺ちゃんに悲しくなった😭