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アミューズメント・パークのpauhのネタバレレビュー・内容・結末

アミューズメント・パーク(1973年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

最初から最後まで痺れる程演出や衣装など、画としてのかっこよさの見応えが凄くあり、同時に題材の身近だからこそ余計に感じる恐怖や不安感が普通のホラー映画よりもあって面白かったです。
最初のボロボロのお爺さんが余りの変貌ぶりに気づきませんでしたが、最後の自分自身だったとラストに気づいて今までの仕打ちの酷さを改めて感じました。
遊園地という華やかな場所で繰り広げられる老人や社会的弱者の現状が観ていて辛くなるほどで、年収で乗れる乗り物が限られたりおばあさんと男性の事故でのやりとりや困ってる老人への周囲の無関心さなど、遊園地というポップで愉しげな舞台なのが更に怖さを際立たせていて惹き込まれました。
不良グループに襲われる場面の周囲の静けさに反し、難が去ってから人気が戻りただ奇異の目で見るだけという残酷さも老人だけでは無く、寄り添いのない感じは色んな所にあるよなぁと考えさせられて面白かったです。
時折現れる死神や、ずっと劇中カメラを横切る有象無象や老人が酷い目にあった後の笑い声など良い意味で不快感が凄く、老後施設を表現している場面での歓迎する人の不気味さが怖くて印象的でした。
やっと現れた優しい少女も、おそらく孫とその母を表しているのか永遠には居てくれないのも無情で可哀想になりました。
ただ貧富の差を描いていたレストランのシーンでは、富裕層が貧しい人を気にかけたもののそれを改善するのでは無くただそこから見えないようにするだけという都合の良さはあったものの、ウェイター男が使っていたデカすぎるペンが可愛くて欲しくなりました。
まだ若者と呼ばれる今見た事で、ただこれを観て将来に恐怖するだけでなく今からでも老人への接し方を改めて現状を変えたいと思える勉強になり、同時に演出や表現が何から何までかっこいい色んな意味で刺さる作品でした!
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