一人旅

アミューズメント・パークの一人旅のレビュー・感想・評価

アミューズメント・パーク(1973年製作の映画)
4.0
ジョージ・A・ロメロ監督作。

アメリカにおける高齢者差別を問題視したルーテル教会に依頼されたジョージ・A・ロメロ監督が、独特の切り口でその実態を風刺した1973年制作の異色の社会派ホラーです。

ゾンビ映画の生みの親として知られるジョージ・A・ロメロが、年齢差別を題材に描いた作品であり、家族やカップル、若者たちで大賑わいする遊園地を訪れた柔和な老人が、年齢を理由に次々と理不尽な目に遭っていく様子を描いた作品です。

テーマパークを満喫する若い世代の人々とは対照的に、ろくにアトラクションを愉しむことができないまま、周囲の人々に無視され、侮辱され、暴行され、誰にも助けてもらえなくなっていく老人が体感する究極の孤独と社会からの疎外感、不安と絶望と死の恐怖の一部始終を眺めていきます。

現代アメリカにおける高齢者差別&虐待の実態を風刺豊かに描き切った気鋭の中篇映画で、ロメロの“ゾンビ物ではない”幻のカルト作としてロメロ ファン&映画ファンなら一見の価値があります。

蛇足)
遊園地が恐怖の異世界と化す構造に『エスケイプ・フロム・トゥモロー』(13)を連想しました。
一人旅

一人旅