kazマックスグローバーレッド

アミューズメント・パークのkazマックスグローバーレッドのレビュー・感想・評価

アミューズメント・パーク(1973年製作の映画)
3.6
白い部屋に座り込む怪我だらけの老紳士。ドアから入ってきたもう一人の老紳士に向かって「外の世界には何もない」と嘆くが、もう一人の老紳士は忠告を聞かずに「自分で確かめる」と言って白い部屋から出て行く。するとそこは楽しい楽しい遊園地。…のはずだった。

ジョージ・A・ロメロ監督が、年齢差別や老人虐待など高齢者問題を扱った映画を作ってほしいと教会から依頼されて制作した教育映画。しかし遊園地で老人が酷い目に遭う悲惨な内容からお蔵入りになって封印された幻の作品です。

遊園地で若いカップルが占いの舘に入り「僕らは年を取っても一緒にいるか見てほしい」と占い師に頼むと、水晶玉に映し出されるのは貧困と医療格差に苦しむ悲惨な老後のヴィジョン。絶望で嘆く若者はその怒りの矛先をパーク内で見つけた老人にぶつける。なんて理不尽な。
1973年の映画でこの若いカップルが当時二十歳ぐらいだとすると今や既に70歳の爺ちゃん婆ちゃん。貧困問題や医療格差も未だに続いてるんだから、まだ若いからといっても決して他人ごとじゃごさいません。

「この映画の遊園地で体験することは高齢者が日々直面する問題を例示する、この問題を肌で感じてほしい」と話すナビゲーター役のお爺ちゃん。
ロメロ監督は明確なメッセージをいつも俳優さんに言わせちゃってます。