ミシンそば

ブラックボックス:音声分析捜査のミシンそばのレビュー・感想・評価

3.4
ちょっとした違和感に主人公が気付き、そこから糸口を掴んだり壁にぶち当たったりしつつ、最後には解決へと導かれる事件真相解明・追体験系スリラー。
「THE GUILTY ギルティ」と似たようなもんかな、と思っていたがハッキリ言って全くの別物。陰謀論系のやつだった。

主人公マチューの神経質さも才能も、序盤の些細な音をノイズから聴き取る演出から十二分に伝わる。
妻のノエミから指摘された通り、ぶっちゃけ敵も多いタイプの天才なのだろう彼は。
マチューは、真相解明にのめり込み過ぎるあまり妻との軋轢を招いたり、高すぎる聴覚ゆえに聴こえ過ぎて人混みでパニックに陥ったりするところから見ても世渡り上手とは到底思えない。
(そもそもわざわざ狭い道を通って、重たい機材で上司の車に引っかき傷付ける時点で――)。

真相は意外なくらい軽いもの。寧ろその軽いものを覆う“殻”のあまりの分厚さにこそ驚愕すべき要素は内包されている。
そこはぜひ、映画館でご自分で。

だが、こちら側に開示される手札はあんまり多くないので、ミステリーとしてはあんまりだった(ドローン、認証機関等のヒントはあるが…)。