【摩擦0とする】
『カランコエの花』ほどの洗練された作品だとは思わないが、それを彷彿とさせる良作である事は確かであって、久しぶりに正直で素敵な作品を観たなと感じた。
それは高校生の同性愛に焦点を当てながらも、ひとつの青春恋愛ドラマとしても観る事が可能であって、そしてそこから出てくる〝本音〟の部分が何よりも素晴らしい。神尾楓珠と山田杏奈の演技力の高さが本作の良さを押し上げているというのは言うまでもなく、本作においての良ポイントは、三浦獠太演じるオノッチというキャラクター。我々が同性愛に対してオブラートを包むように発言しながらも真の心の中の本音はこうだよねという素直で真っ直ぐなキャラクターに胸が抉られる。理解してるつもりだったと反省し、理解はできないけれど、想像したい、分かっておきたいというのが、その人に対する愛の伝え方のひとつの答えなのかなと。
ラスト、体育館の演出はどうかなと思う所もあるけれど、いくつかの伏線と山田杏奈の演技が上回り自然と涙してしまった。そしてその後もある展開が待ち受けているとなると、なかなか現実を畳み掛けるくるなという印象を持ち、エンドロールが終わった後でも暫く思い耽る。
良作である事は確か。
そして山田杏奈が可愛いというのも確か。
