冷戦中の旧ソ連下のエストニア、軍隊内での同性愛を描いた実話に基づく映画。今まで沢山作られてきたこのジャンルにおける、マイルストーン且つ金字塔でもあるブロークバックマウンテンを否が応でも思い出させる内容だけど、それでも観てよかった。作り手の魂と体温を感じる映画でした。
ブロークバックはフィクションではあるものの、冷戦時のソ連の実話ベースの本作がブロークバック的な展開になるのは必然で、両者のストーリーが重なるのは当時の(そして現在も続く)現実の反映なんだと思います。
ほぼ同じ時代、アメリカの小説の中に生きたイニスとジャックのように、同じように抑圧され、同じように生きざるをえなかった、現実に旧ソ連下に生きたセルゲイとローマンを想うと胸にこみ上げてくるものがありました。悲しくも救いのあるラストも美しかった。
時代の時計を巻き戻す現在のロシアを見ると、この映画を過去の話と言えない状況が悲しいけど、旧ソ連圏からこうした映画が作られるのは希望だと思います。もっと観たい。