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ノーカントリーのshingoのレビュー・感想・評価

ノーカントリー(2007年製作の映画)
4.1
この作品を観るのは3回目だがやはり何度観ても最高でした。そもそもコーマックマッカーシーの原作を、クライム映画を撮らしたら右に出るものはいないコーエン兄弟が映画化したのだから面白くないわけがない。

なんと言ってもハビエル・バルデム演じる殺し屋のシガーの存在感が圧倒的。冒頭から特に意味もなく奇妙な武器で人を撃ち殺すし、コインで簡単に人の生死を決めるし、殺人鬼と言うよりは人間を超越した悪魔のよう。

それに追われるベトナム帰還兵モスと、そのシガーを追う保安官エドとの三つ巴の戦いを主軸としたストーリーも良かった。

特に面白いのは3人の関係性。人を殺すことを全く躊躇わないシガーや、シガーのような狂人では無いが元軍人だけあって銃撃戦には慣れているモス。そして殺人どころか銃すら持っていない(というか殆ど何もしていない)初老の保安官エド。この力関係の差はまさにこの作品のタイトルそのものを表している。

でもラストに間抜けなオチがあってシリアスに終わらせないのもコーエン兄弟らしい。この作品が気に入った方はドラマ版ファーゴもお薦めです。
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