hikarouch

ノーカントリーのhikarouchのレビュー・感想・評価

ノーカントリー(2007年製作の映画)
4.8
これまた、10数年振りの鑑賞。当時はシガーのインパクトが強すぎて、お話の方はほとんど忘れていた。

それくらい、やっぱりシガーが強烈。殺さないシーンですら、めちゃくちゃ殺しちゃいそうなので、もう彼の関わる全会話が恐ろしい。緊張感が途切れない。

シガーとカーソンが対峙したときの緊迫感、そして爆音で鳴るアレ。それをトリガーに、シガーが頭の中で巡らせた思考・判断・行動の速さ容赦なさ。あの爆音を聞いた瞬間に、シガーにとってカーソンは用無しになったということ。しびれる。

そしてシガーにしても、モスにしても、本人の意図や心情は一切口に出さないため、会話の非常に少ない作品ながら、映像や音からの情報量がエグい。観ている側も頭フル回転で大変に疲れる。

実はこの映画はステークホルダーの関係が意外と複雑。シガー、モスはそれぞれ独立して動いており、そこにアメリカのマフィア、メキシコのマフィアがそれぞれ1つのターゲットを目がけて争奪戦を繰り広げる。さらにはそこに保安官のベルや、アメリカマフィアの刺客としてカーソンも絡んで来る。初見時はこの関係性をきちんと把握できていなかった気がする。

そして後半のあっと驚くような展開と、ラストの突き放し。観客は完全にしてやられる。

キャラクターだけでなく、脚本も超一級品でしたわ。

おまわりさん!世界一ど派手な手口の万引き犯はコイツです!
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