この異質な味わいをどう伝えたら良いのか悩ましい。
上原謙は器の小さい男をやらせたら天下一品だな。高峰秀子もツンケンして愛想のない女の役が本当に鈍く光輝く。
そういう何となしに負の要素を、凡庸なホームドラマに混ぜこんで、盛り上げようともしない間延びした感じに妙に惹かれた。
田中絹代と上原謙の色気ゼロなキスシーンに鉢合わせた高峰秀子の、氷点下の眼差し。税金を取り立てに回る芥川比呂志の向いて無さげな様子。高峰秀子の同僚のやけに気になる飛ばしてる女子。
煙突で良いこと言ってやろうとか、そういう意思が全く窺えないから好ましい。