らんらん

煙突の見える場所のらんらんのレビュー・感想・評価

煙突の見える場所(1953年製作の映画)
3.5
タイトルにある煙突とは千住にあったおばけ煙突のこと、見る角度によって本来4本ある煙突の本数が変化して見える

物語はその煙突が3本に見える地域に住む上原謙&田中絹代夫婦、その二階に間借りしている高峰秀子と芥川比呂志をメインとしたドラマ
ネタバレしちゃうと雨降って地固まる的なお話です

年甲斐もなくwラブラブイチャイチャな上原&田中なんだけど子供はいない、金銭的な余裕がないため幸せ家族計画なのだ
そんな家庭を助けるため田中は内緒で競輪場のアルバイトをしている、それが発覚して喧嘩もしたりするけどやっぱりラブラブ
一方二階のお二人はというと襖越しに話し合ったりする関係、くっつきそうでくっつかないでいるみたいな

そして事件は起きる、なんと家の中に捨て子が!
書き置きを見ると戦死したと思われた田中絹代の元旦那が生きていて、赤ちゃんを押し付けたみたい
しかも丁寧に戸籍まで置いていく、それによると田中は今も元旦那の籍に入ったまま
バカな!と狼狽える上原謙は自らの戸籍をひっぱり出して確認、たしかに田中絹代は上原謙とも籍を入れている

つまり二重結婚、なんでそんなこと出来たのか不思議だけど大昔のことだからw
本来なら縁もゆかりもない赤ん坊の始末に困り警察になり届けるところだが、二重結婚の弱みがあって罰せられるのが怖くて通報出来ないの
元旦那はどこにいるか皆目分からないし、、、

ここで上原謙はお前が悪い!俺は知らんぞ!
と突き放して田中絹代を責め立て、その世話の一切を押しつける
常に泣き続ける赤ちゃんに身も心も消耗してやつれていく田中絹代
夫婦の争いもピークに達し、田中絹代は家を出て行き自殺寸前までいっちゃう

見かねた芥川比呂志と高峰秀子が2人に介入、割って入って偉そうなこと言った手前芥川比呂志は元旦那をあてもなく探すことに、、、

タイトルにあるよう煙突の風景が時折挟まれます、その本数も1-4本まで様々
おばけ煙突自体は漫画「こち亀」のエピソードで読んで知ってはいました
劇中芥川が本数が違って見える!って驚いて、高峰秀子がそんなバカなってやりとりがあります
場所によって煙突の本数が違って見えるってのはあまり知られていなかったのかなぁ?
それとも2人が最近越してきたとかなのかな?

この映画で一番魅力が出てそうなのは芥川比呂志かと、いい人オーラ、高峰秀子との関係も微笑ましい
田中絹代は冒頭のイチャイチャシーンはなんか可愛らしい、おばちゃんだけどw
上原謙は、、、イケメンだけど器が小さい男、奥さんを責めるばかりであまり良いとこない、情けない男
高峰秀子は、、、たまに見るスレた性格の役、悪くなかったけど特に見所もないかな

最後に、、、なんだかんだハッピーエンドなので後味は良い作品
たぶんだけど現在ではストーリーや出演者そのものよりも、この煙突のシーンが見られるってのが貴重な気がする
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