るるびっち

先生、私の隣に座っていただけませんか?のるるびっちのレビュー・感想・評価

3.3
短編だったら面白かったろうが、二時間は持たない。
小声でボソボソ喋ったり、ゆっくりした間を生かした芝居は邦画のお家芸だが、自然な日常に見えてそんな作品ばかりだから却って不自然に思う。
最近は動画を倍速で見る人も多いので、リズムの遅いものは減っていくかも知れない。
仕掛けが薄いのに、このリズムで二時間やられるとダルい。

試写会応募の際、漫画家夫婦の設定だった。ならば妻が漫画で仕掛けた「不倫の暴露」を、夫も漫画でやり返すと思っていた。
そうでなければ、夫まで漫画家である意味がないからだ。
しかし一時間以上経っても妻側の仕掛けばかりで、夫が漫画で反撃することはない。ただオロオロしているだけだ。
スランプの夫を発奮させて漫画を描かせるために、ワザとやっているのだろうと大抵は思う。
何故なら、原稿を夫の目につく所に置いているからだ。
最後の最後にそうした美しい話が実は・・・となるのだが、それに二時間付き合わされるのはシンドイ。

なぜ退屈かと言えば、話が全て妻の仕掛けた事に終始しており、夫の意外な反撃で妻も予測しない方向に話が向かないからだ。
予定調和で詰まらないのである。
夫があり得ない反論や漫画であり得ない反撃に出れば、予測不能になり面白いだろう。
妻の仕掛けだけで終始するので、妻が漫画で描いていることが嘘か本当かの二択になってしまう。
嘘でも本当でも、どちらかしかないなら観客は驚かない。
二択に思わせる場合は、第三の答えがないと「やられたー!」とならない。
最後の最後に、夫が漫画家である意味が生きてくる。
それをもって「やられたー」と、思えるか?
まあ40分位の尺なら痛快に思うかも知れない。二時間もダレた後だと「それだけ?」となる。
悪いことは言わないから40分、せめて60分作品として編集し直した方が良いと思う。
(追記:とは言え、黒木華さんの何を言い出すか解らない緊張感は凄い。彼女でなかったらもっと持たないだろう。良妻=母親になりがちな、ダメ夫に都合の良い日本妻に対するアンチテーゼとしては良い)
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