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ドイツ映画だ。
音楽映画であり、多分に政治的な要素の強い作品でもある。
ただし、ある一方に偏ったプロパガンダ映画ではない。
普遍的な価値観を説いた物語である。
パレスチナ問題を扱った作品だ。
たまにニュースでガザ地区だとかヨルダン川西岸地区といった単語を耳にするが、それらがパレスチナ自治区だ。
イスラエル国内に飛び地のように存在しているアラブ人たちの”国”である。
パレスチナとイスラエルは長年紛争を続けている。
お互い激しく憎しみ合っているのだ。
そんなイスラエル人とパレスチナ人の混合オーケストラで、平和公演をという企画が持ち上がる。
オーディションにより集められた両陣営の若者たち。
当然、最初は不協和音どころではない、憎悪のぶつかり合いだ。
果たして公演などできるのか。
彼らを束ねるのはスポルクというドイツ人だ。
世界的マエストロである。
彼の最初の仕事は、憎しみあっている若者たちを一つの楽団にする事だ。
若者たちは音楽を愛している。
愛してはいるのだが、それ以上に憎しみの方が強いのだ。
そんな彼らを一つにまとめる事が可能なのか。
そんな物語である。
どちらかというとパレスチナ側に同情的な雰囲気はあるが、イスラエル側にもきちんと見せ場はある。
とてもいい映画だ。
合宿を通じて、段々と楽団が一つになっていく過程は無条件でいいし、悲劇の後の感動的な演奏シーンも実に素晴らしい。
是非ともご覧いただきたい作品である。
”芸術に政治を持ち込むな”
そのような意味のセリフが多々あったが、私も全く同感だ。
ご存知のように、私のレビューは芸術作品として有名だ。
(どこで?)
信楽焼かT太郎のレビューかと言われる程なのである。
(どこで?)
そう、私はれっきとした芸術家なのだ。
したがって、私は政治的な話題は極力持ち出さないようにしている。
これこそが芸術家としての矜持だと思っているからである。
さすが私だ。
あ、嘘です。
ホンマにいい映画なので、是非観てくださいね。