MidoriK

テーラー 人生の仕立て屋のMidoriKのネタバレレビュー・内容・結末

テーラー 人生の仕立て屋(2020年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます


不器用で寡黙な中年男性。でもひたむきに自分の仕事を愛しているニコス。

予告編を見ただけで素敵な服に魅了されました。
主人公のニコスもだけどお父さんの柄物スーツが本当に素敵。
そしてなによりもドレス!あんな素敵なドレスを着れた花嫁が羨ましい。

2代目だけれど商才があるように見えず、かつ時代の波が押し寄せる描写は切ない。
こうやって手仕事の世界が狭まるのは本当に残念でならない。
でも彼のひたむきさは自分の世界を切り開いていくことになる。
もじもじしているニコスに思わず「頑張れ!」ってなりました。

途中オルガとの恋愛模様が描かれていたけれど、そこまで重点を置いたようには見えず。
ニコスにとって良くないこと、もしくは彼にとってもやっていることになると、バイオリン?の不調和な旋律が流れていたけれど、彼女とのシーンでそれが流れた時があったのは、彼女との関係がそこまで明るくないことを指していたのかと。
喧嘩しながらも調和がとれていたオルガ家族に自分が入ることは不調和だったということなのでしょう。

オルガも言いたいことを我慢してる性格なので、今後はもっと自分を出していけるといいね。
だからと言ってワゴン車を壊した旦那は大人げないと思います。

結果的にお店を閉めることにはなったけど、それは彼の人生の終わりではなく、
新しい人生の始まりになったのは良かったと思います。
周りが思った以上にアクティブな人でしたね。
明るい生地と白いワゴンが彼の心情を表しているようでした。

お父さんも自分の仕事のプライドがあり、最後にそれを見せてくれたシーンがとても良かった。
無駄のない正確な型取り、そして自分の型紙だったというのが、彼の仕事の真骨頂と終焉を思わせます。

途中途中ちょっとイメージ的な映像が流れたり、セリフのテンポなどがかもめ食堂みたいだなと思いました。
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