SHOHEI

スナッチのSHOHEIのレビュー・感想・評価

スナッチ(2000年製作の映画)
3.9
ベルギーでダイヤモンドを強奪したフランキーはアメリカにいるボスのアビーに品を届ける途中、ロンドンに寄りギャンブルを満喫しようとする。その情報を掴んだロシア人のボリスは黒人ギャングたちを雇いフランキーからダイヤモンドを奪い取ろうと画策。彼らはノミ屋に踏み込みフランキーからダイヤモンドを奪うことに成功するが、実はそこは裏ボクシングの元締めブリックトップが経営する店で彼の怒りを買ってしまう。

ミュージックビデオを手がけてきたガイ・リッチー監督によるスタイリッシュなクライム・サスペンス。ポスターアートではブラッド・ピットが主役のような存在感を放っているが実際は若かりしジェイソン・ステイサムが主演。しかし冒頭からベニチオ・デル・トロ演じるフランキーを中心に物語が進んでいくため余計混乱する。複数の出来事が結びついていく群像劇的展開や音楽による洒落た演出は『パルプ・フィクション』のようで、実際ガイ・リッチー監督も影響を受けたことを公言しているが映画の構造そのものはタランティーノとは異なるとも発言している。今見るとスカした演出は時代を感じないでもない。同時多発的に発生する事件を強制シャッフルして慌ただしく物語が進むこともあり初見では全く内容についていけず楽しむ余裕もない。わからないままに見た終盤あたりでようやくそれぞれの展開が脳内に結びつき、本編を巻き戻して要所要所を再確認したがそこで初めて面白さを実感。そもそも話の柱が3本も4本もあるため普通に進めても難しい話を細切れの編集でさらに整理しづらくしている。ただ2、3回見れば筋は追えるし辻褄は合うので良心的。ノーラン的な投げっぱなしの難解さではない。こうして見ると無駄なプロットはなくコメディを挟みつつも適度な緊張感がある。キャストも魅力的で物語の主役が何人もいるように見える。最低でも2度見る必要がある作品。
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