このレビューはネタバレを含みます
良かった～。ようやく映画館で観たけど、もう最高に感激。ギリギリ泣きはしなかったけど、零れそうな涙を目に戻すので必死やった。
誰かの気持ちを蔑ろにしたり、取りこぼしがあったりすることがないし、無理がない。それぞれが誠意をもって人と向き合い、受容とともに自己実現していく過程に震えた。
取りこぼしがないという点で言うと、聾者の視点をしっかり取り入れているのが偉いなと思う。感動ポルノなんて言葉があるけど、それがやりがちな障がい者の方への過剰な美化がない。我が儘で下品な、人間のもつ下劣な部分もしっかり描いている。また、恋愛も労働も自力で行える強さについても描いていて、弱者としてのいやな強調がない。人間らしく、それぞれが真の意味で輝いていた。
白眉はやはりあの無音の発表会のシーン。物語の流れで言えばあの発表会を感動的なフィナーレにしても良いはずやけど、あの演出にすることで我々はハッとさせられるし、一度障がい者の視点に我々を立たせ、障がい者が感動を起こすための装置となるような安直で一面的な描き方を排している。こうした制作者の誠実なスタンスが本当に素敵。
あと、自分は次男やけど兄貴の方にかなり感情移入したな。妹への申し訳なさや、親からあまり頼りにされていない悔しさ、それら全て含め現状を打破したい、兄貴としての、長男としての意地。これでも兄貴なんだぞ！っていう心からの叫びに胸を打たれた。
