自分達には価値が理解できない”才能”を、「絶対に成功する」と言って後押しする怖さを想像したことがなかった。
絶対怖いよね。怖くないわけないよね。
しかもよりによって自分達の娘だもんね。
家族としても商売上でも頼りにしている娘だもんね。
子供の言っていることがどれくらい本当か、本気かなんて、あの状況の親からしたらとても信じられないよね。
きっとどっちも怖かったんだと思う。
自分達の商売がうまくいかなくなることも、娘が挫折して帰ってくることも。
だったら確実に先が見える今の役割をこなしてほしいって、そう考えて当然だと思う。
逆説的だけど、この映画のラストは聴こえなかったからあの決断ができたんじゃないかと思うんです。
聴こえていたら、もしかしたら逆の結末になっていたかもしれないと思うんです。
だって自分達には理解できないから他人の表情を見ようと思ったんだから。
聴こえていたら「上手いけどもっと上手い人もいる」とか考えていたかもしれないんだから。
じゃあ何で理解できないのに決断できたんだって、それが「愛」なんですよってことなんだろうなぁ。
自分達の不利益になっても娘が挫折して帰ってきたとしてもちゃんと受け止めるよう腹を括ったんだろうって、それが「愛」なんだろうなぁ。素晴らしい。
