ザリくん

劇場版 呪術廻戦 0のザリくんのレビュー・感想・評価

劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)
3.8
ジャンプバトルマンガ映画化の最適解ではないか? 本編前日譚かつアニオリもバシバシ入れてくるので原作既読勢も未読勢も楽しめると思う。(私は既読勢)

単行本1冊分の内容を2時間映画にするから追加で挟まれる演出やバトルシーンが増えているが、決して水増しにならず過不足ない描写やサービスに満ちたサプライズへと完璧になり得て、作品の質を底上げしているのが流石MAPPA様だと思った。豪勢なクリスマスプレゼント。

スタイリッシュになったり、優しくなったり、おどろおどろしくなるコントラストの効いた作画。暗転を巧みに使ったりアングルが目まぐるしい変化したりと緩急で飽きさせない映像。盛り上げる音楽。アニメーションとしてこれとして欠点が見当てらなかった。

以下少し内容に触れます。

昔死んだ、自分を愛する女に守られている気弱な主人公(CV緒方さん)が誰かに必要とされ守るために奮い立ち巨大生物として戦う、この設定は周りが言ってる通りに例のアレだと感じた。作者が影響を受けたと公言してるとはいえ余りにもなので以下主人公は仮称シンジ君。

シンジくんの成長譚と同時に純愛物語としても良かった今作。途中まではリカちゃんの異常な執着心と怪物としての強さが明かされていなかったが(終盤判明する)、その逸脱した不気味さが元少女の化け物としての魅力を押し上げていた。強大な人外と冴えない男の子との恋模様、これはその手の層に非常に需要がありますね。刺さりました。

6年の歳月に礼を告げるシーン、台詞は飾らないものだったが花澤香菜の声でグッと来てしまった。著名声優の演技を褒める行為をすると自称アニメ中級者キッズ感が出てしまうので避けたいが、それでも良かった。時間軸が長い人間関係に区切りを付ける演出が個人的に好きなのもある。

同じような理論で五条と夏油の最後も素直にエモくなってしまった。某大ヒットアニメ映画で、数時間前に会った上司が壮絶な勇姿を魅せて死ぬ という感動が流行ったが、それよりも長い年月の積み上げに想像力を働かせるエモシーンの方が好み。

再三繰り返すが長い時間軸を感じさせる演出が他にもあり、シンジくんの過ごす風景が季節の経過を表すものに刻刻と変化しており、学友との繋がりが深まっていきシンジくんが精神的に成長したことにより説得力を出す演出になってて凄いなー、となった。

原作なら言葉だけで語らせてる部分をちゃんと描写で表現するの多々追加され良い意味で分かりやすくなってるし、原作ファンが見たかった五条ミゲル戦を始めとして高専メンバーの戦闘模様も描かれてるし、アニメ映画としてかなりエンタメさせて貰いました。

あのラストの空気にいきなり「一途」流したら台無しになるから「逆夢」挟むのちゃんと英断なんだけど、2曲分スタッフロールに割いたせいで行間スカスカだったの笑った。

〆に、
百鬼夜行は24日日没後に行われるからそれに合わせてみれば良かったが待てずに朝から見る人間自分含めて多過ぎて百鬼夜行になってた。
ザリくん

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