まめまめちゃん

劇場版 呪術廻戦 0のまめまめちゃんのレビュー・感想・評価

劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)
4.5
予告編のアニメーションが素晴らしかったのだ。
この1年ほどずっと話題だったジャンプアニメだ。とにかく劇場版の本作は見たかった。
これを今年の1本目にしようと決めていながら、ふと時間が合ったからという理由で何も情報を入れずに1度見てしまった。
皆さん予習なしにわかると仰ってたけど、
クソムズイ漢字と興味の薄いカテゴリ言葉に惑わされて正直頭に入ってこなかった。眠かった。
ストーリーは実にシンプルだったから、
作品を楽しむには背景を知るしかないのだ。

正直キングスマンとかスパイダーマンとかハウスオブグッチとかパワーオブザドッグとかいろいろ他に見たかったけど、せっかくの今年初映画に選んでしまったのに「わからんくて眠かった」は自分的にない。からしょーがない。
Netflixでアニメを見てみた。
虎杖悠仁くんが編入する呪術高専1年組。
伏黒くんと野薔薇ちゃんの魅力は置いといて、
虎杖くんいい子なんだけどなんだか乗れず、
両面宿儺のキモさに
なんだかんだで結局アニメ編挫折。

今時のジャンプはむかしむかしのスポ根とヤンキー全盛時代とぜんぜん違うんだな(ちょっとマガジン混ざった記憶)。

結局五条悟と夏油傑の高専時代を描いた巻のコミックだけ読んで
2回目の鑑賞に臨んだ。

虎杖くんが編入する1年ほど前に入学した特級術師: 乙骨憂太くんがこれほど真っ直ぐで素直なことが意外で、呪術師としての覚醒と共に意志の強さを感じさせた。
彼も含めこの学年の皆が自分のことも他人のことも状況もよく見えている優秀な人材であることも本作では重要だ。
そのせいか五条悟は大して説明も手出しもしなかったように見えた(そういう性格?)。

さて、まだ額に傷のない時代の夏油傑の百鬼夜行が決行される。
「呪い」の見えない「猿」が多勢の世界に関わらず、呪術師が「猿」を守るために傷つくのに耐えかねて呪詛師になった男。心優しいんだか違うんだか、しかし何故だか魅力的な男だ。
猿を駆除するためにコツコツ呪いを貯めていたけれど、特級過呪怨霊:リカちゃんを呑み込めばラクに駆除可能と、乙骨を殺してリカちゃんを手に入れようと企んだ。

本作の見せ場はこの夏油VS乙骨(+リカちゃん)だ。
私にはこの戦いに纏わる友情と愛情の交錯が全てだった。歪んだ呪いと称された愛は、呪詛のパワーに勝てるのか。
「鬼滅の刃」みたいな殺陣も背景も変態かと思うほど細やかな作風とはちょっと違うのだけど、とにかく戦いの重さ激しさといった凄まじいパワーとそれに負けない作画の美しさがきちんと両立していて、あれ以上長かったら帰れんと思うほどグッタリした。
何より乙骨の、クラスメイトやリカちゃんへの想いの深さに胸を打たれてしまった。リカちゃんのおそらくは不遇な生前をそれほど描かなくても共感できる感情芝居、素晴らしかったしあんな心優しい男の子、リアルにいるんやったら、この世はまだ美しいと思えるな。
そして五条悟と夏油傑の友情も、叶うのなら正しい方向に育まれて欲しい(なんだかそうじゃなさそうだけどね)。

まわり道した鑑賞だったけど、
本作が今年の1本目で良かったなと思っている。
そしてまだ全てを理解し把握した訳じゃないと思ってる。なんで予習要らんと言われてるのかわたしにはわからん。要るよ絶対。