このレビューはネタバレを含みます
原題:Two Distant Strangers
公開:2020年
鑑賞:Netflix(字幕)
・
・
・
▼ ▼ ▼ ネタバレあり ▼ ▼ ▼
・
・
・
29分の短編ね。NYの黒人カリスマラッパーJOEY BADA$$とコワモテスキンヘッド白人警官アンドリュー・ハワード(最近も『TENET』『ANNA/アナ』『ウォッチメン』など出まくり)の共演対決か、ふうん…と軽い気持ちで再生。
だがその29分間、ジャブ連続被弾して顔パンパン腫らすかのダメージを喰らった。一見コメディっぽいのにまるで笑えない。
古今東西様々なタイムループ作品がある。おそらく大半は何十回何百回のループのなか苦悩しながら僅かなヒントをものにして脱する、または成長や新たな出逢いに気づくのが王道パターン。
けれど、この作品は観客が慣れ親しんだパターンを逆手にとり「結局、ループが終わらない恐怖。繰り返される人種差別・黒人差別・オーバーキル(過剰殺戮、過剰攻撃)」を描いている。
何をやっても脱け出せず、どうしても殺される。
そう。死んでも、死んでも、また殺されるのだ。
帰宅して、愛犬と一緒に過ごしたいだけなのに。
まったくおぞましい。
主人公カーターが起死回生に挑んだのが白人警官との「対話」だったのが哀しい。お互い深いところまで探り探り打ち解けたかに想えた「対話」も、殺されるまでの時間を延ばしただけだった。
トドメを刺してくるエンドロール。馬鹿げた理由で殺された黒人の方々の名前が流れる。映画は29分で終わる。私達はリモコンのワンタッチ、マウスのワンクリック、指のワンタップでこの29分間を何度でも再生できる。笑い転げて観るひとだっているだろう、それは自由だ。
しかし現実では今この瞬間も、あのエンドロールが流れ続け、馬鹿げた理由で殺される黒人の方々の名前が増え続けている。
悔しさに唸るしかない。