"彼らの名前を呼ぼう"
Netflix配信の30分のショート・ムービー。
黒人の主人公が恋人の家から愛犬の待つ自宅へ帰ろうとするが、通りで白人の警察官に呼び止められ、抵抗したことにより窒息死させられてしまう…。
しかし次の瞬間、目覚めるとそこは隣に恋人が眠るベッドの上だった…。
死のループから抜け出せなくなるというのは、ある意味タイムループもののお約束ではあるが、今作がそれらと異なるのは強烈なメッセージが込められている点だ。
白人警察官によって、黒人が絞め殺されるというシーンは、誰もが2020年5月のジョージ・フロイド氏の事件を思い起こさずにはいられない。それもそのはず、今作の脚本は彼の死から二が月後に書かれたものだという。
何をしてもどうあがいても死のループから抜け出せない主人公。
時には対話を試みるがそれも上手くいかない。
そして、何より警官役の役者の憎たらしい顔がイライラを増幅させる。
ただ家に帰って、愛犬に餌をあげたいだけなのに…。
そして迎えた100回目のループ。
試行錯誤の末、ようやく家にたどり着いたと思いきや…。
エンドロールには主人公と同じくただ普通の毎日を過ごしていたはずだった黒人達の名前が流れる。
ここで視聴者は気付かされます。
このループを繰り返す世にも奇妙な物語は決してフィクションではないことに。
白人警官による黒人への差別や暴力は現実の世界で絶えずループしている。
