大人になってもこんな仲良い友達と青春したいし、キャンプ飯の破壊力は相変わらずで多幸感があるが、TV版にはない不安を感じた。
劇場版ゆるキャン△はSHIROBAKOに近い作品だと思う。現実的な切なさを描きつつも、その実、イデア的な理想郷を描いている。いくら揺らいでも、こうだったら良いなという世界の枠からハミ出さない。まあ、それで良いしそういう作品なんだろうけども。
しかし、TV版を見返してみると、TV版は現実世界の良い所だけを切り取って盛り付けたような理想郷なのに対し、劇場版は現実が理想のために歪められて作り出されたような、何かそんな違和感というか不安を感じた。
それは、ずっと続くかのような幸福感の中、気がつくと薄氷の上に立ってるような不安。もう老犬であるチクワがいつ死ぬのかハラハラした人は多いだろうし、役所や出版社の上司や同僚があんな物分かり良いなんてと思った人も少なくないだろう。こんなこと現実にあるだろうか？そう、これは志摩リンが見ている夢なんじゃないかという不安。
実際には、大垣と犬子は職を失い、斎藤はチクワを失い、最も仲が良かったナデシコは1番遠方へ行ってしまった。いや、そもそも、ナデシコは志摩リンが作り出したイマジナリーフレンドで初めから存在しなかったという現実が襲ってきそうで本当に怖かった。監督が押井守じゃなくて良かった。
だいたい大垣があんなにカワイイはずがない。エンドロールのヒーリング効果が高過ぎて一瞬気を失ったと思ったけど、本当は自分が観たと思っている映画は全て自分の夢だった可能性も疑っている。と考えてる自分も蝶々の夢だって荘子先生が言ってた。世の中は何もかも不確かだ。またTV版のゆるキャンを見て心を落ち着けないといけない。
