歌うしらみがおりました

シン・仮面ライダーの歌うしらみがおりましたのネタバレレビュー・内容・結末

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
1.5

このレビューはネタバレを含みます

映画を作るのって難しいんだな、としみじみ思った。
バイクがトラック2台に追われているド頭のチェイスシーン、唐突にパトカーがクラッシュするが、いったいどこから出てきたのかがよく分からなかった。もしかしたら見落としてるだけなのかもしれないけど、それにしたった意味わからん。バイクとトラックがそれぞれバーン!となるところも、何が起こったのかよくわからない(よくわからないから「バーン!」としか言えない)。直後のライダー初登場カットもあっさりしていてアガらないし、カットをガチャガチャ切り替えるから人間の動きが追えないし、追えたと思っても早送りみたいな素早いカット割りの中で人間は普通に動くから、相対的にモッサリして見える。格好悪い。そんで戦いに一区切りが付いたとか、そういうキメ画じゃなくて、戦いの途中っぽいところでくるくる回るライダーからのタイトルバックだから、初登場同様アガらない。っていうか、池松壮亮が初めて「仮面ライダー」と名乗るシーンも、池松壮亮が泡になるシーンも全く盛り上げないし、これは新しいタイプの禁欲的演出なのか?と戸惑っていた。新時代のブレッソンがここに!…な訳はない。
俳優を格好良く、或いは美しく撮ろうとなどとは微塵も思ってなさそうなちょっと上からのクロースアップや美学の欠片もない手持ちカメラ、タメという概念が全くないCGアクション等々をカットの繋がりや映像の生理など特に気にせず編集された映像は、どこもかしこもボロボロ。池松壮亮と浜辺美波、塚本晋也の3人の会話シーンにおける切り返しの中に挿入されるロングショット→逆側からのロングショットとか、なんで連続で2回も見せられるのか意味わからん。あとわざとなんだろうけど、話を聞いたり、敵が痛がってるのを見ていたりという受けの演技をしている時のライダーが必ず棒立ちで、「逆に存在感がある」とかでもなんでもなくただただ間抜けだった。
ラストの三つ巴の戦いは、せっかく森山未來使ってんのに舞のような振り付けはカメラに向かって踊ってるだけだからライダー2人とは関係せず格技としての気持ちよさには至らないし、最後の最後は揉み合いへしあいの文字通りの泥仕合で、23時頃のセンター街で行われている喧嘩を見ているような気持ちになった。っていうかラストバトルの決着が頭突きってなんだよ…。仮面ライダークウガ伝説の第48話がいかに鬼気迫る殴り合いだったか、身に沁みて感じましたよ。
あと、浜辺美波さんは人間の心を持っていないと思う。これだけ窮屈な画面の中で、なんであんなに自由を獲得できるの。