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シン・仮面ライダーのYSKのレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
1.5
正直映画としては下の下、少なくとも今年の新作映画の中ではワーストワンに限りなく近かったように思います

作品冒頭で仮面ライダーへと変身した本郷猛とクモオーグが対峙したシーンそして場所は50年前の『仮面ライダー』第1話で本郷猛とクモ男の戦いへのオマージュでしょうし、庵野監督ならではの愛やこだわりといったものが随所に感じられます
当時の『仮面ライダー』をベースにしながらもデザインを新たにした仮面ライダーのスーツや怪人たちのビジュアル、当時を踏襲したキャラクターの配置、オタク心をくすぐるセリフまわし、はたまた『ロボット刑事』や『キカイダー』を思わせるようなキャラクターたちが並ぶのですから悪いわけがないのです

ただ、それ以外があまりにもあんまりではないですか?
まず最初にあまりにも低レベルな格闘・アクションシーンに眩暈を起こしました
『ベビわる2』の直後、興奮さめやらぬ中で鑑賞したせいもあるのかもしれませんが、動きらしい動きがまるでなく、そしてその稚拙さを隠すかのように不自然なほどの接写で撮影された戦闘は、サメ映画のごとき血しぶきでは覆い隠せない有様だったように思います

次に仮面ライダーこと本郷猛がショッカーと戦う理由が全く伝わってこないことです
作中で緑川博士から「誰よりも正義感があるから」と言われ、本郷猛自身も「人を助けたいんだ」なんて言っていますが、そもそも誰も助けていない…というか、ショッカーだって誰も傷つけていないんですよね
本来の『仮面ライダー』といえば、怪人や戦闘員が一般市民や子どもたちに手をかける→間一髪のところで本郷猛が颯爽と登場し「大丈夫か!?」「ありがとう!」「おのれ、許さんぞショッカー!」となるはずじゃあないですか
でもこの作品に登場するショッカーは一般市民に向けて何も悪いことをしていません、自分たちの研究所に籠って研究やら何やらをしていたら仮面ライダーが殴り込みをかけてきて壊滅させられる、むしろ被害者にしか見えません

『シン・ウルトラマン』公開の際に監督が学生時代に撮ったウルトラマンが陽の目を浴びていましたが、ああいう好きが高じて撮影した二次創作といったクオリティにしか見えませんでした、もちろんキャストやCGなど手間とお金のかけ方は別次元ですが
まあ好きな人は大勢いらっしゃるようなので、そういう方々が応援していけばいいんじゃないかと思います
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