[ストーリーとしての人生]
「女は女である」とは対照的に、モノクロの世界で淡々と時間が経過していく、「静」の要素が強い作品である。
アンナカリーナも、こちらの作品では可愛い、と言うよりは美しいと言ったほうがお似合いな感じであり、スターとしての風格を感じさせる。
ナナは碌でもない女なのだが、その碌でもない行動は、女の人生の変遷としては面白く、ストーリーとして成り立っているのは興味深い。
誰もが、それぞれの人生を生きている。
従って、それぞれの人生にはストーリーがあるはずだが、それが物語として成り立つのはほんの一握りであろう。
多くの名もなき人生はあまり面白味の無いものなのだから。
そして、面白い人生にはリスクが付きものであるという点も、オチがついているので分かりやすい。
人生が必ずしも面白くなければならないという訳ではない。
しかし、星のように煌めいて消える人生もまた魅力的なものであろう。