回想シーンでご飯3杯いける

おかしな子の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

おかしな子(2021年製作の映画)
4.0
最近はFilmarksでもNetflixオリジナル・インド映画にサムネイル画像が付くようになって嬉しい。

結婚して早々に夫に逝かれた若未亡人が主人公。遺品の中から見知らぬ女性の写真が見付かり、それが結婚前の元カノだと判明する。所謂三角関係を描く映画かと思っていたら、夫の葬式を舞台に一族の封建的な家風が描き出され、物語の様相が変わってくる。

元カノはビジネスで成功しているキャリアウーマンで、結婚を前提としない恋愛も含めて、現代的で自由な女性の象徴。対して主人公は一族の貢物のように扱われて嫁いだ、インドの封建社会を象徴する存在と言える。そんな2人が夫の死後に出会い触れ合う中から、インド人女性の社会進出や意識改革を描き出していくという、なかなか実験的な試みを導入した作品と言えるだろう。

終盤の波乱に満ちた展開や伏線の回収は、流石インド映画と言ったところ。物語を葬儀期間の13日(日本の四十九日に近い感じ)に限定したのもユニークだ。また、主人公の心情が挿入曲によって語られるシーンが多く、訳詞の字幕を入れた日本版スタッフの判断にも感謝したい。