ぺん

カルナンのぺんのレビュー・感想・評価

カルナン(2021年製作の映画)
3.8
インド映画祭にて。ダヌシュ主演が気になって鑑賞。
うーん、タミル映画から生まれる圧倒的なパワーよ。想像以上に社会派映画だった。
オープニング、道の真ん中で泡を吹きながら倒れ苦しむ少女。行き交う車やバスは彼女を無視して通り過ぎる。
群衆たちの歌と叫びの中、警察に連行される男。衝撃を受けるかっこいい映像。

1997年。周囲に踏み躙られてきた下層カーストの人々で構成された村が舞台。
村人は何をされても歯向かえず公的に見捨てられている。バス停を巡り隣村との争いも絶えない。
インド映画お馴染みの横暴で悪意に満ちた警察官たちがこれでもかと憎たらしく描かれる。
怒り、悲しみ、蔑みや理不尽な暴力は老若男女問わず襲いかかる。
オープニングの少女が誰なのか判明し、カルナンのやりきれなさと怒りの源も分かってくる。

鯉、ロバ、鷲、馬や蛾など動物たちが象徴的にインサートされるのは良かった。
印象深い場面で影絵のようにカルナンを写す描写は勇者として称えているよう。
まぁカルナン含め登場人物が熱すぎて途中かなり疲れちゃったけどな…やっぱりスローモーション多用もくどいか。
喫煙シーンで「劇場内は禁煙」みたいなテロップ(たぶん)がいちいち出るのは初めて見たw

いよいよ大乱戦の後半。あれだけのことをやらかした割にラストはあっさりしすぎかなぁ。
カースト制に苦しんだ当事者でないと完全な共感は難しい気がするが、今作を作りたかった製作側の意図に思いを馳せることはできる。
カルナンたちの闘いが実を結んだことにホッとし、子どもたちへの目線に希望を感じた。
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