香港問題に関心があるので見てみたのだが、わりと複雑な構成の映画だった。
1966年の文化大革命、1989年の天安門事件、そして2019年以降の現在の香港の問題。
それぞれをドキュメンタリーと再現ドラマでつなぐ。再現ドラマを演じているのは現在の民主化運動を支えている若者たちだ。
試みとしてはおもしろいとは思うのだが、3つの時代のドキュメンタリーとそれぞれの再現ドラマとメイキングが交差する構成が複雑でわかりにくい。
「このプロジェクトのテーマは、ある特定の場所や時間に限られたものではなく、『香港人の集団的アイデンティティ』を定義する壊れない鎖、つまり市民的主張の連続性を探求することです。」(チャン・ジーウン監督)
監督の意図はわかるのだが、もっとストレートに描いた方がテーマは伝わりやすかったんじゃないかな?
「香港人は自ら運命を決めたことは一度だってない」
この言葉はそのまま沖縄にも通じる。
時代と大国の狭間で揺れ続ける「香港人」のアイデンティティを追った意欲的な作品。映画は教科書に出てないことも私たちに教えてくれる。
*まだ香港のデモが鎮圧される以前、銀座のソニービルでウォークマンの歴史を展示してあるコーナーで香港からの観光客の方とお話しをした。「香港、今、デモとかで大変ですね。大丈夫ですか?」「香港人は強いから、大丈夫だよ。」その人はそう言って「ありがとう」って去っていったけど、その数日後には周庭さんも逮捕され、大規模なデモは圧倒的な暴力で鎮圧された。あのおじさんはどうしてるんだろうな? なんてことを考えた。