オレオレ

ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言のオレオレのレビュー・感想・評価

3.5
2008年頃から撮影された、ナチスドイツのメンバーだった生存者へのインタビュー。10年以上前なので、かろうじて直接的に関わった人々の肉声が聞ける。

やはり、というか、当然、というか、「自分たちは(ユダヤ人などの大虐殺を)知らなかった」というスタンスの人が多い。確かに、戦後70年の生存者=ヒットラーユーゲントの構成員が主なので、「他の子供とのアクティビティとして最初はそういう団体に参加した」みたいなことをみんな言う。映像でも、子供会の集まり、みたいな楽しそうな映像が流れていたからなあ・・・。

「他の人のことは言えないけど、私は知らなかったわ!」というおばあさんに、「みんな薄々知っていたけど、何も言えなかったのよ」という別のおばあさん。強制収容所の周囲の住人がいうような、収容所のおかげで村の経済が回っていた、という事実もあって、見ざる聞かざる言わざる、だったんだろうなあ、と思う。

グロい映像はほとんど出てこないが、代わりに背筋が凍るのが、インタビュー当時でも、自分は犯罪者だとは思っていないという人々や、さらには、「ヒトラーに責任はない。民族浄化という考え方自体、間違っていないのだから」という人が多々いること。「ニュルンベルク裁判でSSが犯罪集団と認定された?ドイツの法律で裁かれたのではないのだから、自分は認めない」などなど・・・

自分は殺人者の集団に所属していたんだ、という元SSのおじいさんが、「殺人者集団?ナンセンス!」というちゃらけた若者たちに涙をこらえながら「盲目になるな!」と語る部分は何度も巻き戻してみちゃったよ。
ドイツはナチスの罪を認めて戦後教育も徹底していると思っていたけど、そうでもないのかなあ・・・

「残虐行為に直接的に関わっていなかった・・・しかし、Noと言わなかった自分も犯罪者ということだよ」という言葉が表すのが冒頭の、「モンスターは確かに存在するが、その数が少ないため危険度は低い。怖いのは、何ら疑問を持たずに信じて行動する一般市民の方だ」という引用部分。戦争中じゃないじゃん、というのではなく、何事に対しても一歩立ち止まって考えるの、重要ですね・・・